更新日:2025/11/23
古物商が取引時に盗品を買い取ってしまった場合はどのようなことが想定されるでしょうか。
本記事では、盗品を買い取ってしまった場合や、取引後に元の所有者から返還請求を受けた場合のことを解説いたします。
最初に大切になってくるポイントは古物商が『買い取った古物が盗品であることについて知っていたか』です。
古物商が買取時に盗品であると『知っていた』または『注意すれば見抜くことができた』場合
この場合は、対象の古物は元の所有者に返還しなければなりません。
ここでいう『注意すれば見抜くことができた』とは、例えば以下のようなことを指します。
・ 本人確認義務を怠ったとき
・ 不自然に安すぎる価格での持ち込みを、そのまま買い取ったとき
・ 転売目的が明らかな大量持ち込みを不審に思わなかったとき
このように、古物商として通常の注意義務を果たしていれば盗品であると気づけた可能性が高いときには、『注意すれば見抜くことができた』と判断され、古物は返還しなければなりません。
それでは、盗品だと知らなかった。注意しても見抜けなかった場合はどうなるでしょう。
知らずに買い取った場合で、元の所有者から返還請求(返してほしい旨の意思表示)もされていない場合は、所有権は古物商のものになります。
民法 第192条【即時取得】
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
例えば、お昼休みにコンビニでおにぎりを買ったとします。
その際に、毎回「このおにぎりの本当の持ち主は誰なのか?」を確認するのは、現実的にとても難しいことです。
そこで、盗品であることを知らず、さらに注意してもそれに気づくことができなかった場合には、その物を手に入れた人に所有権が移るというルールが設けられています。
これが【即時取得】という制度です。
このように、【即時取得】によって所有権が移る場合でも、注意すべき点があります。
それは、元の所有者から返還請求を受ける可能性があるということです。
この場合、返還請求をしてくる相手は、大きく分けて『古物商や店舗などの業者』と『一般の人(個人)』の2つに分かれます。
どちらから返還請求されるかによって、対応の仕方も異なります。
古物営業法 20条 【盗品及び遺失物の回復】
古物商が買い受け、又は交換した古物(指図証券、記名式所持人払証券(民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百二十条の十三に規定する記名式所持人払証券をいう。)及び無記名証券であるものを除く。)のうちに盗品又は遺失物があつた場合においては、その古物商が当該盗品又は遺失物を公の市場において又は同種の物を取り扱う営業者から善意で譲り受けた場合においても、被害者又は遺失主は、古物商に対し、これを無償で回復することを求めることができる。ただし、盗難又は遺失の時から一年を経過した後においては、この限りでない。
ポイントを要約すると以下のように解釈できます。
・ 盗難から1年以内に「返してくれ」と言われた場合、無料で返さなければなりません。
・ 盗難から1年以上、2年以内に「返してくれ」と言われた場合、返還時に元の所有者から購入代金を弁償してもらえます。
・ 盗難から2年以上経過してから「返してくれ」と言われた場合、返還義務はありません。
・ 「返してくれ」と言われたときに既に売却してしまっている場合、返還義務はありません。
民法 193条・194条 【盗品又は遺失物の回復】
193条 前条(即時取得)の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。
194条 占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。
ポイントを要約すると以下のように解釈できます。
・ 盗難から2年以内に「返してくれ」と言われた場合、返還時に元の所有者から購入代金を弁償してもらえます。
・ 盗難から2年以上経過してから「返してくれ」と言われた場合、返還義務はありません。
・ 「返してくれ」と言われたときに既に売却してしまっている場合、返還義務はありません。
このように、『一般の人(個人)』が盗難から2年以内に返還請求を行った場合、古物を買い取った古物商は、その物を返還する代わりに購入代金の弁償を受けることができます。
一方で、『古物商や店舗などの業者』が請求者である場合は、一定の条件に該当すると、弁償を受けられずに古物を返還しなければならないことがあります。
これは、古物商が「プロの事業者」として、一般の人よりも高い注意義務と責任があると法律が考えているためです。
「購入した古物を返還しなければならず、しかも購入代金も戻ってこない古物商は丸損ではないか」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
たしかにその通りで、このような場合には、窃盗犯に対して損害賠償請求ができる可能性があります。
しかし、窃盗犯が捕まっていなければ請求すらできませんし、仮に捕まっても賠償能力がないことも多いのが実情です。
そのため、やはり古物商としては、本人確認をはじめとする適正な取引手続を丁寧に行い、盗品を買い取らないように注意することが何より重要だといえるでしょう。
今回解説した内容は、あくまで法律上のルールに基づくものです。
もちろん、当事者同士で冷静に話し合い、双方が納得できる形で問題を解決できるのであれば、それが最も望ましい解決方法です。
しかし実際には、法律に基づいた対応が求められるケースも少なくありません。
古物商には、一般の消費者よりも高い注意義務が課されており、盗品などの不正な物品を取り扱わないよう、日常の取引において十分な確認や慎重な対応が求められます。
加えて、盗品やその疑いのある物品を発見した場合には、速やかに警察に申告しなければならないという法的義務も定められています。
このような義務を正しく理解し、本人確認の徹底、不審点への対応、警察との連携を含めた適正な管理体制を整えることが、トラブルを未然に防ぎ、信頼される古物商として活動するうえで非常に重要です。
日々の営業活動の中で、関係法令の趣旨をよく理解し、法令遵守とリスク管理に努めましょう。
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