自動車の古物商許可に実務経験は必要なのでしょうか。未経験から中古車販売を始める方に向けて、管理者の経験要件、講習受講、営業所要件、車庫証明や登録手続きまで行政書士が解説します。

自動車の古物商許可を取るのに実務経験は必要?

更新日:2026/06/05

自動車の古物商許可を取るのに実務経験は必要?未経験でも取得できるのか解説

中古車販売を始めようと考えている方の中には、

自動車業界で働いた経験がないと古物商許可は取れないのでは?

と不安に感じる方もいるでしょう。
結論からいうと、申請者本人に自動車業界での実務経験がなくても、自動車を取り扱う古物商許可を取得することは可能です。
ただし、自動車やオートバイを取り扱う場合には、一般的な古物商許可とは異なり、営業所の管理者に一定の知識や経験が求められるため、その点は理解しておく必要があります。
この記事では、自動車の古物商許可と実務経験の関係について、法律上の考え方と実務上の運用をわかりやすく解説します。



申請者本人に実務経験は必須ではない

古物商許可の申請にあたり、「中古車販売の経験が何年以上必要」といった許可要件は定められていません。
そのため、以下のような方でも古物商許可を取得できる可能性があります。

• 会社員から独立して中古車販売を始める方
• 副業として中古車販売を始めたい方
• 個人売買から事業化を目指す方
• 異業種から中古車業界へ参入する方

警察署や公安委員会が許可審査で確認するのは、主に欠格事由に該当しないかどうかです。
その意味では、申請者本人の実務経験の有無だけを理由として不許可になるわけではありません。



自動車を扱う場合は管理者の知識や経験が確認されることがある

一方で、「経験がまったく関係ない」というわけでもありません。


古物営業法第13条第3項では、古物商は管理者に対して、不正品を見分けるために必要な知識技術、経験を得させるよう努めなければならないと規定されています。
さらに、古物営業法施行規則第14条では、自動車や自動二輪車、原動機付自転車を取り扱う営業所の管理者について、不正改造や車台番号の改ざんなどを見分けるために必要な知識技術経験が求められるとされています。


その知識や経験の目安として、

「当該業務に3年以上従事した者が通常有するもの」

という基準が示されています。
そのため、警察署によっては管理者の業界経験について確認されたり、面談で具体的な経歴を質問されたりすることがあります。



「3年以上の実務経験」が許可要件ではない

ここで誤解しやすいのが、「3年以上の経験がなければ許可を取得できない」というものです。
しかし、法律上はそのような規定はありません。
古物営業法第13条第3項は「努めなければならない」とする努力義務規定です。
つまり、
「管理者は必ず3年以上の実務経験がなければならない」
という義務ではなく、
「管理者には不正車両を見分けるための知識や経験を備えさせることが望ましい」
という趣旨になります。
そのため、管理者に十分な実務経験がない場合でも、直ちに許可が取得できなくなるわけではありません。



実務経験がない場合は講習受講で対応できるケースもある

実務上は、自動車業界での経験が不足している場合に、講習の受講によって知識を補う方法が利用されています。
たとえば、一般社団法人日本中古自動車販売協会連合会が実施している講習会を受講し、その修了証を提出するケースがあります。
また、地域によっては、
「許可取得後に速やかに受講する予定である」
ことを説明することで受理される場合もあります。
運用は都道府県や警察署によって異なるため、事前に管轄警察署へ確認しておくと安心です。



中古車販売に特別な国家資格は必要ない

「中古車販売をするには自動車販売士のような資格が必要なのでは」と考える方もいますが、中古車販売を行うために国家資格は必要ありません。
中古車を仕入れて販売するために必要となる主な許認可は古物商許可です。
申請時には取り扱う古物区分として「自動車」を選択します。
中古車販売だからといって、自動車専門の免許や国家資格が許可要件になっているわけではありません。



実務経験よりも営業所要件のほうが重要な場合もある

実際の申請では、実務経験の有無よりも営業所の要件や営業実態について確認されるケースが少なくありません。
たとえば、

• 自宅を営業所として使用できるか
• 賃貸物件で事業利用が認められているか
• 営業実態が確認できるか
• 郵便物を受領できる体制があるか
• 車両の保管場所や展示場所をどのように確保しているか

といった点は、警察署から確認を受けることがあります。
特に中古車販売では、営業所とは別に月極駐車場や展示スペースを利用するケースもあります。
その場合は、使用権限を証明できる契約書などの準備が求められることがあります。
なお、古物商許可の要件として駐車場の設置が必須とされているわけではありませんが、自動車を取り扱う事業である以上、車両をどこで保管・管理するのかをあらかじめ整理しておくことが重要です。



中古車販売では古物商許可以外の知識も必要

許可取得後に中古車販売を行うためには、さまざまな関連制度についても理解しておく必要があります。
具体的には、自動車税名義変更車庫証明などが関係します。
中古車販売では、車両の仕入れから販売までの間にさまざまな行政手続きが発生します。
特に名義変更や車庫証明に関する手続きを誤ると、納税義務者や使用者の登録内容に影響が生じるほか、法令上の問題につながる可能性もあります。


行政書士であれば、古物商許可の取得支援だけでなく、車庫証明申請や自動車登録手続きまで一貫してサポートすることが可能です
開業当初は販売活動や仕入れ先の確保に集中したいという事業者の方も多いため、許認可や各種手続きを専門家へ依頼することで、スムーズな事業運営につながるケースも少なくありません。



個人売買でも古物商許可が必要になる場合がある

近年はフリマアプリやSNSを利用した車両売買も増えています。
しかし、営利目的で継続的に中古車を仕入れて販売している場合には、古物営業に該当する可能性があります。
たとえば、

• 継続的に中古車を仕入れている
• 転売利益を得る目的で売買している
• オートオークションで仕入れを行っている

といったケースでは、古物商許可が必要になることがあります。
無許可営業は古物営業法違反となるため注意が必要です。



まとめ

自動車の古物商許可は、申請者本人に自動車業界での実務経験がなくても取得できます。
ただし、自動車を取り扱う営業所の管理者については、不正車両を見分けるための知識や技術、経験を備えることが望ましいとされており、警察署によっては業界経験の有無を確認されることがあります。
中古車販売を始める際は、古物商許可の取得だけでなく、営業所要件や関連制度についても事前に確認し、計画的に開業準備を進めることが大切です。



 

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